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アントニオ・マンチーニのカタログ・レゾネ
2019/08/04 15:55 |

私の最も好きな画家の1人、アントニオ・マンチーニ(Antonio Mancini 1852- 1930)のカタログ・レゾネ(年代順にまとめた総作品目録)がイタリアで出版されました。

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2冊セットで1冊は作品カタログ、もう1冊は伝記等で、作品のカラー図版は85点、白黒図版1007点(伝記編の写真のぞく)。

カラー図版が少ないので、値段が高いだけに、よほどマンチーニが好きな人でなければおすすめはしません。

アマゾン・イタリアでの買い方がイマイチ分からなかったので、私はイーベイで買いました。

アマゾン
https://www.amazon.it/Antonio-Mancini-Catalogo-ragionato-dellopera/dp/8865573961/ref=sr_1_17?__mk_it_IT=ÅMÅŽÕÑ&keywords=Antonio+Mancini&qid=1564900291&s=gateway&sr=8-17

イーベイ
https://www.ebay.it/itm/Antonio-Mancini-Catalogo-ragionato-dellopera-La-pittura-Virno-Cinzia/133124327405?hash=item1efed407ed:g:1twAAOSwZdZdOmmj

白黒写真ではなかなか作品の真価が分かりにくいのですが、こうしてトータルで見ると、やはりマンチーニは初期から前半にかけての作品が秀逸。
14歳で描いた人物画ですでに尋常では無い画力を見せていますが、この絵↓
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が16歳の時の作品とは想像もしてなかったのでびっくり。

これ↓が20歳。
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以下は25歳までの作品。

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最も好きな画家と言いながら、日本語で詳しく書かれた本が無いので、今まではマンチーニについてほぼ何も知らないまま、絵だけ見ていました。(元々絵の技術的な面は好きで見るけど、いつ誰が何を描いたかということは、自分にとってはさほど重要ではないので)
こういう絵は写実的な作品を沢山こなした後に描けるはずだから、早くて30代から40代あたりの絵だろうと思いこんでいたので、作品を見る目が変わりました。

以前ブログでマンチーニの本について書いた際、狂気を感じるという主旨のことを書きましたが、ウィキペディアによるとやはり精神を病んでいたそうで、この凄まじい才能も、おそらくそれと関係があるものと思います。
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ブックレビュー


野口哲哉作品集 ~中世より愛をこめて~
2018/08/23 13:25 |
鎧をまとったフィギュアで知られる現代美術家 野口哲哉先生の展覧会『中世より愛をこめて  From Medieval with Love』が9月2日まで東京・銀座のポーラミュージアムアネックスで開催中です。

http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html

私は行けないので残念ですが、展覧会に合わせて4年ぶりの野口先生の画集、
「野口哲哉作品集 ~中世より愛をこめて~」が上梓されております。


精緻な鎧武者のフィギュアは相変わらず余人の追随を許さない精緻さとエスプリに満ちた表現で楽しませてくれますが、今回は中世から17世紀までのヨーロッパ絵画を、同時代の日本の武者に巧みに変換した絵画も収録。
そのユーモアに笑ってしまうと同時に、技術と教養のとんでもない高さに驚異と羨望の念を感じずにはいられません。
インタビューやアトリエ写真も収録され、おすすめの1冊。

↓以前個展の折に私がスマホで撮った写真なので、不鮮明かつ色が違っててすみません。
 (その個展では作品撮影OKでした。念のため)

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以下フェイスブック等から無断転載

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ブックレビュー


「Monochrome: Painting in Black and White」展
2018/01/17 13:59 |
このブログではしつこく「古典絵画はグリザイユ/カマイユ(単色画)で描いた下層描きに薄い絵具を何層も重ねて描かれている」という都市伝説について繰り返し批判してきましたが、批判している責任上、グリザイユ技法で描かれた19世紀以前の絵のサンプルも常に探していますので、ロンドン・ナショナルギャラリーで開催中?)の「Monochrome: Painting in Black and White」展のカタログを買ってみましたが、グリザイユ画は載っていても、いわゆる「グリザイユ技法」で描かれた彩色画は見当たりませんでした。


展覧会HP⬇
https://www.nationalgallery.org.uk/whats-on/exhibitions/monochrome-painting-in-black-and-white

私が探しているのは、グレーズ(透明色による彩色)をして仕上げるために用意された、未完成画としてのグリザイユです。

グリザイユで下層描きしていない(つまりプリマによる)未完成画は、これまでブログで沢山提示してきた以外に無数に存在しますが、グリザイユ画そのものは存在しても、グリザイユに彩色をしかけて途中でやめている未完成画は、皆無ではないものの、私が探した限りでは数点しか知りません。
私の検索能力を差し引くとしても、このような圧倒的な作例数の差があるのに「グリザイユにグレーズが古典絵画の主流技法」などと主張するのは明らかに間違っています。

例えばこれはよくグリザイユの未完成画として誤解されるヴァン・ダイクの絵ですが、
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まずヴァン・ダイクはこの様な主題の絵は通常大きなキャンバスに描く人で、本画として小さなサイズではほとんど描かない人ですが、この絵は32×38センチしかありません。
茶色はグリザイユにグレーズしてあるわけではない事もお分かりいただけると思います。
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「でもエスキースにしては丁寧ではないか」と思われるでしょうが、これはここ⬇
http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2012/important-old-master-paintings-n08825/lot.26.html
にも書いてある様に版画の原画として描かれたものなので、丁寧だけれども小さいサイズなわけで、下層描きとしてのグリザイユではなく、これで完結している作品です。
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本書に出てくるヴァン・ダイクのグリザイユ画はこちら⬇
retygreghhhre.png
ですが、やはり57×41㎝の小さな絵で、絵を描いた上から縦横にマス目が引いてある事からも、本画(133x109cm)⬇のエスキースあることは明らかです。
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(http://www.alamy.com/stock-photo-anthony-van-dyck-rinaldo-and-armida-132619264.html)

本書掲載のレンブラントのこの絵も54×44㎝というサイズで、版画の原画として制作されたものとしています。
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レンブラントはさまざまな油彩技術を駆使した人なので、部分的にインパスト(絵具の盛り上げ)重視でまず単色で絵具を盛ってからグレーズしている絵はよくありますが、小品の中に全体を単色下層描きにグレーズで彩色した様な絵がいくつかあります。
プリマで描けるし、単色下層描きにグレーズすると肌色はたいていこのように⬇
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あまり美しく無い色になってしまうのが普通ですが、何故あえてこの方法で描いたか私の想像では、版画の下絵として油絵を制作した後、タブローとして売るためにグレーズで彩色したのではないかと思ったりするわけですが、私はレンブラントはそんなに好きで見てるわけではないので分かりません。

いずれにしても、画面全体を単色で描いてグレーズで仕上げるという描法は、あったとしてもレンブラントの中ではごく僅かであることは確かだし、「古典絵画はどれも単色画にグレーズで描かれている」というのが全くの間違いであることはゆるぎません。

というわけで、本書き私にとってはある意味で空振りの本でしたし、特に面白い絵も載ってないので(個人の感想です)ぜんぜんお薦めはしません。

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ブックレビュー


「Vermeer in Detail」と「Caravaggio in Detail」
2017/07/27 23:32 |


フェルメール作品の部分拡大図を中心とした画集。
デジタルヴァージョンもあり、本の末尾にあるキーコードを入れると無料で見る事が出来るようになっていて、技法を読み取りたい者にとっては理想形の画集。

「それならグーグルアートの方がタダじゃん」ということになるので比較すると、グーグルに出ているフェルメールの絵は現在のところ22点。
https://www.google.com/culturalinstitute/beta/entity/m0bw2x?hl=en
この本に出ているのは37点(真贋があやしいものも含めて)。

しかしグーグルはどれも全体が拡大出来ますが、Vermeer in Detailの方は全体図は拡大すると少しボケ気味。
Vermeer in Detailの部分図はグーグルよりも大きく拡大されるものもあれば小さいものもあり、グーグルよりも鮮明なものもあるけど、ちょっとボケ気味なのも多いということで、どっちも一長一短です。


以下の比較画像はそれぞれ最大まで拡大したものです。

グーグルの画像の一部
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Vermeer in Detailの「全体図」の一部
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Vermeer in Detailの「部分図」の一部
vid1.png

グーグル
goo2.png

Vermeer in Detail
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グーグル
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Vermeer in Detail
vid3.png

グーグル
goo4.png

Vermeer in Detail
vid4.png

Vermeer in Detailのデジタル画像一覧はこんなかんじです(一部です)
vidw.png

カラヴァッジョの方も、グーグルは画像は少ないけど「caravaggio in detail」の方はちょっとボケ気味の画像が多いです。
とはいえグーグルのカラヴァッジョの画像はわずかなので、カラヴァッジョが好きなら買った方がいいと思います。
https://www.google.com/culturalinstitute/beta/search?q=%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%A7

caravaggio in detailのデジタル画像はフェルメールの方は全体図も載っていますが、カラヴァッジョはすべて部分拡大図です。

⬇デジタル画像一覧の一部です。
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グーグル
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caravaggio in detail
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グーグル
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caravaggio in detail
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グーグル
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caravaggio in detail
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caravaggio in detail
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caravaggio in detail
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ちなみに私は買っていませんが、ファン・エイク、ボッシュ、ブリューゲルもあります。
(ファン・エイクは絶版のもよう)
 















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ブックレビュー


巨大アートビジネスの裏側
2017/03/10 08:23 |



オークションを中心に美術品売買の裏側やエピソード、現在の世界のアート市場の流行や傾向などを紹介し、バブル崩壊以後すっかり勢いを無くして停滞している日本の美術界を尻目に、世界のアートビジネスが成長・拡大している様子を、とても分かりやすく読みやすい文章で解説した新書。
2016年5月刊で昨年夏に読んだんですがブックレビューに書くのが遅くなりました。
著者はサザビーズジャパンの元社長さんで、2009年にも「サザビーズ 「豊かさ」を「幸せ」に変えるアートな仕事術」を出版されていますが、アート市場はその後も大きく変動しているので、最近のトレンドを知るにはこちらも読むべき。 
といっても美術界は景気に大きく左右されるので、本書の情報の一部も今ではすでに古くなっているものもあるかもです(たとえば中国人の動向とか)が、簡潔な文章で沢山の興味深い話が詰め込まれていておすすめ。
たとえば「絵画オークションの世界で売れる色と売れない色」といった話も入っていて、万国共通なのは青なのだとか。
赤の方が人気がありそうに思ってましたが、それは東洋人の感覚なんすかねえ?
私の経験ではモデルの服がピンク色だと人気が高いです。
「茶色は売りにくい」というのはよく分かります。

ちなみに「作家に対する利益の分配の法制化」についても書かれていて、私も最近国内オークションで過去の作品が当時より大幅に高く取引される事も増え、私本人に分配金が入らないのは不公平ではないかと何人もの方からご親切で心配いただく事が多くなりましたが、私としては将来値上がりする保証も無いのに、数十万、数百万出して拙作を買っていただいた方々にずっと恐縮に思ってきたので、買っていただいた方にトクになれば、けっこうお金に執着の強い私ですが「売れたお金から配当をいくらかほしい」みたいな気持ちはありません。
それに高く売れたら分配を要求するのに、売却した際に購入いただいた時より大きく値下がりしても、作家はなにも補償しないというのは虫がよすぎる話だと思います。
もっとも、数億で売れた場合に数百万のと分配という制度らしいので、どっちにしてもほんの一握りの作家の問題ですが。


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ブックレビュー




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