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アートマスターズスクールHP
2011/05/28 17:36 |
アートマスターズスクールに、講座の詳細をアップいただきました。

早くも6名様のお申し込みをいただいておりまして誠に有難うございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

http://www.artmasters.ac.jp/koukai.htm#furuyoshi






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事務的な話題


絵画の保存
2011/05/27 13:57 |
最近、下地は何がベターなのか考えたり、美術の窓の技術講座をうけたまわったりして、あらためて油絵の材料や工程について今までの選択が正しいのかどうか考え直しているのですが、既存の技法書(和書や訳本)はどれも明らかな誤謬や、理論的におかしくて納得のいかない事が多く書かれていているので、むしろ修復家の書いたものの方がましかと思って購入。(「まし」というのは、修復家さんのほうが科学的根拠を元に言っている事が多いとはいえ、やはりあり得ない様な事を書いている修復家さんも多いので)




本書はロンドン・ナショナルギャラリー出版のポケットガイドの訳本で、79ページしか無いパンフレットの様な本ですが、古画の変色は裏打ち(キャンバスの裏に補強の麻布を貼ること)が大きく影響している事や、早過ぎる仕上げニスの塗布は絵具と同化して古化したニスが洗浄出来なくなる等、興味深い事が書かれていました。

なにぶん薄い本だし、画家のために書いているわけでもないので、個々についてもっと詳しく書いてないのが非常に残念ではありますが、読みやすくて図版も多く、読んで損は無いと思います。

アートマスターズスクールで講師始めます。
http://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-entry-257.html
よろしくお願い申し上げます!
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ブックレビュー


アートマスターズスクールで講師始めます。
2011/05/23 08:20 |
以前中島健太画伯と油絵教室を始めようとしましたときは、生徒さんの募集を初めてまもなく、やっと探したレンタルルームが廃業され、油絵を許可する適当な貸部屋が見つからないうちに、中島画伯も私も本業が忙しくなってしまって立ち消えとなってしまい、応募いただきました方々には大変申し訳ございませんでした。

自分で教室を行うと、授業だけでなく色々とそれに伴う雑事にも追われてしまう事にもなるので、その後計画もしていなかったのですが、このたび美術学校の老舗「阿佐ヶ谷学園・アートマスターズスクール」さんから、油絵科の講師にとのご要請をいただき、7月から始めさせていただく事になりました。

http://www.artmasters.ac.jp/index.html

追ってアートマスターズスクールさんのホームページや美術の窓7月号等で告知がありますが、定員は15名ですので、応募されます方はアートマスターズスクール事務局の方へお問い合せよろしくお願い申し上げます。

現在決まっている今回のカリキュラムでは、月2回土曜日の4時から6時半で、合計8回で人物画を4号に写真から描く予定です。

写真から描くということには抵抗のある方がいらっしゃるとは思いますが、美術の窓にも書きました様に、絵というものは実写からのみ生み出されて来たものではありません。
実写は絶対善と思い込む人が増えたのは近代以降の事だと思いますが、古典絵画の、室内で描いた風景画にも素晴らしい作品が当然ありますし、花の無い季節に描いた花の絵でも実写より美しい絵は当然あるわけですから、「実物を前にしなければ良い絵は描けない」と言う人たちの主張には根拠がありません。
風景は短時間で光がどんどん変わって行きますし、花も刻々と形や色を変えていきますので、実写が最も正しいという事は言えないと思います。

人物で言えば、どんなモデルさんでもポーズをとっている間ずっと微妙に動いていますから、角度や形が変わる上に影の濃さや付き方も変わって来ますし、服のシワも休憩のたびに変わってしまいます。言うまでもなくモデルさんは絵描きのために生活している訳では無いので、今回の様に月2回で4ヶ月で仕上げる場合、途中で髪型も変わりますし、肌色も日焼けしたりさめたり、その日の体調で変わったりしますので、必ずしも実写が最善とは言い切れないと思います。

写真は実際と色調や光のバランスが違ったり、手前が大きくなり過ぎたり端が歪んだり等々、色々問題がありますので、実写と写真どちらかが正しいとか上だとかいう事ではなく、両方の長所と短所をよく理解し、場合場合に応じてどちらがベターか考えて使い分けていくことが良いと思っています。

講座では出来るだけ生徒さん個々の要望に沿った授業にしていきたいと思っていますが、生徒さんの方に差し支えが無ければ絵に手を入れたりもさせていただきたいと思っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
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事務的な話題


レンブラント
2011/05/08 12:58 |
5月2日のブログに、レンブラントは「乾かした画面に透明ないし不透明の絵具を塗って拭き取る(かなり残して陰影にしたり、絵具の凸凹にだけ残してニュアンス付けや質感の表現にしたり)といったこともやっている」と書きましたが、どういう事かよくわからないとのご質問を受けました。

この方法は美術の窓2011年3月号の拙稿「技術講座(後編)」にも書きましたが、昔も今も普通によく使われている技法で、レンブラントだけがやっている方法でももちろんありませんが、古典画家の中でレンブラントの様によく使い、顔にも大胆に多用している画家は少ないと思います。

この方法はグレーズと同様に画家や作品によってはやってないことも多いですし、汚れたニスが凹部に残ったものと紛らわしいので見過ごされがちです。
短大時代に通った青木敏郎先生の絵画塾で教えてもらって初めて知りましたが、当時先生に「この技法なんて言うんですか?」と聞いたら「分からん」とのことでした。


では、ロンドン・ナショナルギャラリーやグーグルアートプロジェクトの画像を使って説明したいと思います。

ナショナルギャラリー


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目のまわりの凹部に黒っぽい絵具が擦り込まれ、頬や上瞼、額と眼窩の境目あたりに赤っぽい絵具が擦り込まれている。

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ヒゲの筆痕の凹にも同様。

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襟元にローアンバーに白を加えた様な緑がかった色の擦り込み。

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向かって左の衣服の赤や黄色が乾いてから黒っぽい絵具を擦り込んで、さらに襟元と同じ様な緑がかった色をスカンブリング(透明色を使うグレージングと違い、乾いた絵具の上に不透明ないし半不透明の絵具を薄く塗る技法)。

スクリーンショット(2011-05-03 15.51.16)
スクリーンショット(2011-05-03 15.48.03)
目の下に透明とも半透明とも思える赤(レッドオーカー?)が入っているものの、全体的にはグレーズというよりは、顔を描いて乾かしてから不透明か半透明の絵具中心で色や陰のトーンをスカンブリングしたり拭き取ったりして入れている様に見える。

スクリーンショット(2011-05-03 15.48.37)
鼻の下部の明部と暗部との境にある筆痕の細い溝に絵具が入っているので、下層が乾いてから鼻の影を暗い色で強めて明部では拭き取っているように見える。

スクリーンショット(2011-05-03 15.33.33)
中央上の方のブルーのトーン(おそらく黒の割合が多い肌色)はスカンブリングかプリマで塗ったもので、その下はローアンバーの様な色の擦り込み・拭き取りで寒色調のトーンを付けている。耳たぶの凹部にも同様な擦り込み・拭き取りがあるが、赤味はグレーズではないかと思う。

スクリーンショット(2011-05-03 15.32.36)
グレイでモデリングした服に、レッドオーカーと黒を混ぜたような色を塗って、襟の所は少し下層を出している。


「通称・夜警」はさらに大胆にこの擦り込みが行われているので、以下その夜警から例を示したいと思います。

グーグル・アートプロジェクト


「夜警)

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副隊長の服。盛り上げた絵具の凹部に擦り込んだ絵具で巧みに刺繍を表現している。

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ほぼ単色でモデリングしたあと、顔全体に絵具を塗りつけて、頬と鼻の辺りを拭き取っている。

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こちらは鼻や頬のあたりに赤(レッドオーカー?)も見える。

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端に描かれているのでトーンを抑え暗くするのが目的で擦り付けた絵具をかなり残していると思われる。

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ライトレッド?で描かれた帽子や服や白いラフ(襟飾り)に絵具の擦り込み。


その他画面いたるところにこの擦り込み・拭き取りが見られ、レンブラントの主要な技法の1つである事が分かる。
n11.png
n13.png



このような絵具を塗りつけて拭き取るという方法は、やってみてどういう結果になるのか予測し難いものですし、何度もやり直すと表面を削ってしまうため、この様に大胆に行えるのはかなりの手練でなければ難しい技法と言えると思います。

私も失敗するのが恐いので、本のページの重なりとかバックのタピスリーの織目とか出す時にはよく使っても、顔とかにはとても使えません。
暗色調で凸凹も多いレンブラントならではでもありますが、絵の深みを出す効果も大きいので、もう少し使ってみたい所です。

ついでに小銭かせぎ..

レンブラントは大好きな画家というわけでもないので、この本は買ってなくて内容も知りませんが、レンブラントの技法に付いて書かれた本です。

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制作過程


グリザイユについて追記
2011/05/02 22:17 |
1月19日のブログ「ふたたび「グリザイユ」について」について、塩谷亮先生から「全文同意見」とのお言葉いただきましたが、「ルーブルにグリザイユの未完成画がありますね」とのことで、「そんなのあったっけ~?」と思ったのですが、後日先生からこの画像送っていただきました。
忘れてました...。プリュードンの作品です。
スクリーンショット(2011-05-02 21.57.53)
(撮影 塩谷亮画伯)

18世紀末から19世紀初めに活躍した新古典主義時代の人で、ダ・ヴィンチに影響を受けてスフマート(ぼかし)で描いているのですが、強力にぼかして描く場合、色はそれを難しくしますので、このような方法をとったのかもしれません。

が、しかしこの絵はグリザイユ(というかカマイユというか)ではあるものの、「現在日本で考えられているグリザイユ/カマイユ技法」(グリザイユ/カマイユのモデリングに透明色をグレーズして仕上げるというもの)の作品かというと少し違うかもしれません。
これに透明色をかぶせてもこの顔の様な肌色にはならないので、不透明ないし半透明の色をかけている様に見えます。(椅子は透明色っぽい)
スクリーンショット(2011-05-02 21.59.08)

有名なプリュードンのジョセフィーヌの肖像も、グリザイユの下層描きが行われている上に、それを少し透かしながら不透明の薄い層をのせている様にも見えます。(あくまで画像を見ただけでの私の推測)
スクリーンショット(2011-05-02 22.02.06)
ちなみに塩谷画伯はグリザイユに透明色で描いているとよく誤解されるそうですが、グリザイユの下層を生かしながら不透明ないし半透明中心に絵具を重ねておられます。(美術の窓2010年4月号参照)
(小銭ねらいのアフィリエイト)


しかし、同時代の画家であるジロデのこの2つの作品は、色調がちょっとヘンなので、グリザイユ/カマイユに透明色という方法が主体になっている様に見えます。
スクリーンショット(2011-05-02 22.03.12)

スクリーンショット(2011-05-03 7.40.09)




単色ないし2色くらいで描けばぼかしがやりやすく、カリエール等もそういった理由で色をあまり使わないのだと思いますが、新古典主義のように整然とした形を重視する写実的な絵画の場合も色が無い方が描きやすくなります。
ウィキペディアの「新古典主義」の中にもこのように説明があります。
「新古典主義の巨匠アングルと、ロマン派の巨匠ドラクロワの対立は有名だが、これは17世紀の、素描のプッサン派と色彩のルーベンス派の論争に類似している。ー中略ーそして連綿と続くこの対立はアングルが指摘したように、色彩が優位を保つには手数が少なく素早い制作であることが不可欠であり、卓越した形体表現に必要な階調・バルールの徹底的な研究と絢爛たる色彩が両立しないことが根底的な理由である。」

とはいえ新古典主義の画家達がすべてカマイユ/グリザイユ主体で描いた訳では無く、一部に過ぎません。
ジロデもプリマを主体にした作品の方も多く描いています。

繰り返しになりますが、「古典絵画のほとんどはグリザイユ技法で全部描いてある」ということが間違いであって、グリザイユ/カマイユは技法の一部として行われたり行われなかったりしたということです。

また、「レンブラントはグリザイユだけで描いたりしない」という事を書きましたが、塩谷先生から「初期の作品はグリザイユ/カマイユで描いた物もありますよね(画面全体という意味ではなく)」とのことで見直してみると、今国立西洋美術館に来ているレンブラントの初期の作品のこれなんかは色調の感じからけっこう全体的に行われているかんじがします。
スクリーンショット(2011-05-02 10.41.36)

この人の描き方はけっこうなんでもアリで作品によって色んな事をやっているので、グリザイユ/カマイユだけで描いたりはしないものの単純にプリマだけでもなく、グレーズはもちろんやってるし、乾かした画面に透明ないし不透明の絵具を塗って拭き取る(かなり残して陰影にしたり、絵具の凸凹にだけ残してニュアンス付けや
質感の表現にしたり)といったこともやっているので、私のようなものが簡単に読み取れる様なものではありません。(他の絵ももちろんそうですが)
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制作過程


折原一先生骸骨絵コレクション展
2011/05/02 07:57 |
ミステリー作家・折原一先生のコレクションを展示する「折原一骸骨絵コレクション展 メメント・モリー死を想えー」が、銀座の文芸春秋画廊で5月16日(月)~21(土)に行われますが、ご購入いただいた拙作の静物画も展示いただけますので、おついでがありましたらお立ち寄り下さいませ。

折原先生HP
http://homepage3.nifty.com/orihara1/

文芸春秋画郎HP
http://www.bunshun.co.jp/gallery/celler.htm

スクリーンショット(2011-05-02 7.56.05)
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事務的な話題




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