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ある肖像画の謎 ~ダ・ヴィンチ説を追う~
2012/11/23 15:37 |
以前ブックレビューで「美しき姫君  発見されたダ・ヴィンチの真作」について書いた事がありますが(http://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-entry-220.html)、この絵についてのドキュメンタリーが先週NHK Eテレで放送されました。

「ある肖像画の謎 ~ダ・ヴィンチ説を追う~ 」
http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/292.html

「美しき姫君  発見されたダ・ヴィンチの真作」では、この絵が綴じられていたであろう本について、推測するだけで終わっていましたが、番組を見ると、その後ポーランドの図書館に、まさに推測した通りの本が存在することが分かり、綴じ穴の位置も一致したという内容でした。

肯定派はこれほど物証が得られても、断定には慎重であるのに対し、否定派は具体的で確かな反証を示さないのに(番組の尺の問題でカットしたのかもしれませんが)頭から否定していましたが、私は絵の上手さから本物だと思います。

再放送は11月26日(月)午前0時00分~0時44分 (25日日曜の深夜)


ところで塩谷亮先生のブログで、ルーブルのダビンチ作「聖母子と聖アンナ」が修復されてるのを知ってビックリ。
http://ryoshio.exblog.jp/19271403/
ぜんぜん印象が変わってしまいました。
louv1.jpg


私は、実際の色やタッチや手順が知りたいので、ニスはドンドン洗ってくれ派なんですが、この絵の神秘性がかなり無くなってしまって、古色の効果というものを再認識。
逆に自分の絵に古色を付ける実験してみようかと思いました。
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ブックレビュー


The Art of the Salon: The Triumph of 19th-century Painting
2012/11/21 13:31 |


スクリーンショット(2012-11-21 13.36.03)



「サロン絵画」を集めた画集。
「サロン絵画」という名称は、便宜上のザックリしたもので、必ずしもこの言葉で完全にくくれる物ではありませんが、大まかには19世紀後半の、サロン(官展)で発表される様な、アカデミックな、伝統的、写実的、技巧的表現の絵画をさしています。

本書は35.6x30.4x4㎝とかなり大判で、図版も大きいものが多いものの、きれいなのもあればちょっとボケたものもあって、図版の質はバラバラ。

サロン絵画全体の紹介なので、だいたい1人1点のため、代表作の集成で目新しい絵が少なく、部分拡大図はほとんど無いので、私としては少々期待はずれですが、これから「サロン絵画」の画家を知りたいと思っている方には、入門書として非常に良いと思います。

venus2.jpg

スクリーンショット(2012-11-19 23.32.40)


スクリーンショット(2012-11-21 13.25.24)

スクリーンショット(2012-11-19 23.31.13)

スクリーンショット(2012-11-21 8.18.17)





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制作過程


工場見学会
2012/11/11 17:09 |
「西洋絵画の画材と技法」http://www.cad-red.com/jpn/のHPを運営されておられます松川さんのお誘いで、先日絵具メーカーの(株)クサカベさんの工場見学会に参加させていただきました。
松川さんが詳細をバッチリまとめていらっしゃるので、こちらhttp://www.cad-red.com/blog/jpn/index.php?e=1115をご覧下さい。(丸投げ)

私が今回最も聞きたかったのは、松川さんも言及されているミノーのシルバーホワイトの事で、これはねっちょりとしていて筆によくからんで描きやすいし、古典絵画のマチエールに近い物が出せるのですが、以前も書いた様に、「新開発の練り合わせ油」というものが、安定した素材なのかどうかという事が気になっていましたので、以下の2点を質問しました。
1つは、「これはアルキドは入っていますか?」で、お答えは「入っていません」とのこと。
もう一つはダメもとで「新開発の練り合わせ油ってなんですか?」とお聞きしてみましたが、やっぱり「それは申し訳ないが公表していません」とのお答えでした。

絵具の手練り体験では、指の先ほどの量に小分けして、1回につき10回ほど練り棒で円を描いて練って終わりでした。
昔に自分で練ってみたときには、ずいぶん時間がかかったおぼえがあるので、こんなもので大丈夫なのか意外でしたが、後で松川さんにお聞きすると、沢山を一度に練ると均一に練るのが難しいけれども、少量ずつなら理にかなっているとのことでした。

最後に、素晴らしい講習を提供していただいたクサカベ様に御礼申し上げます。(松川さんの文から丸パクリ)



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制作過程


アートマスターズスクールCM
2012/11/08 17:15 |
人物画講座でお世話になっておりますアートマスターズスクールでは、11月より、コステュームを着たモデルさんのデッサン講座が始まります。
私はデッサン講座の講師ではありませんが、参加ご希望の方はスクールまでご連絡よろしくお願い申し上げます。

http://www.artmasters.ac.jp/koukai/koukai.htm#kosu
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事務的な話題


寒色要解
2012/11/01 17:08 |
リヒテンシュタイン展のルーベンスの娘の肖像は、灰色の地に描いてあったみたい(近くでじっくり見れませんでした)と書きましたが、なかなか良い画像が見つからなくて、顔の中に灰色地がどの程度いかされているのか、いまひとつ分かりません。
この画像はまあまあ良い画像ですが、私の印象では、地はもう少し明るかった様な気がします。
スクリーンショット(2012-11-01 13.44.37)
この画像では、顔の中の寒色部分が、地を利用したものなのか、色として塗ってあるのかよく分かりませんが、襟や服は地の灰色を利用している様に見えます。スクリーンショット(2012-11-01 13.37.53)

私は色感覚が悪いので、肌に寒色を上手く入れる事が出来なくて、肌を描く時は、まず全体に寒色調の中間トーンをぬるのですが、それでも描いているといつのまにか暖色が全体を占めてしまい、西洋古典絵画の寒色の入れ方の上手さと美しさを、いつもうらやましく思っています。
若い頃はどれもプリマで寒色を塗っているのだと思っていましたが、他にもけっこう色んな方法があって、このような灰色の地を使って寒色とする方法もあるので、最近灰色地にしてみようかと思っているところです。

肌への寒色の入れ方の色々を、グーグルアートプロジェクト等から探してみました。

フェルメール
http://www.googleartproject.com/collection/rijksmuseum/artwork/the-milkmaid-johannes-vermeer/328442/

スクリーンショット(2012-10-24 21.50.20)
↓暖色を塗った後に、ウェット・イン・ウェット(濡れているうちに塗り重ねる方法)なのか、乾いてからなのかよく分かりませんが、肌色に黒を混ぜた様な不透明の寒色。
スクリーンショット(2012-10-24 21.51.10)

スクリーンショット(2012-10-24 21.51.24)


コプリー
http://thehammockpapers.blogspot.jp/2011/03/folds.html

スクリーンショット(2012-10-19 10.02.40)
灰色地を透かせて寒色として利用する方法。
スクリーンショット(2012-10-19 10.03.24)

スクリーンショット(2012-10-19 10.03.50)

レンブラント
http://www.googleartproject.com/collection/statens-museum-for-kunst/artwork/sketch-for-the-knight-with-the-falcon-known-as-the-crusader-rembrandt-van-rijn/389698/

スクリーンショット(2012-11-01 17.19.25)


地の灰色をそのまま残した場合。(スケッチですけどね)

スクリーンショット(2012-10-24 22.05.50)

スクリーンショット(2012-10-24 22.16.14)

メツー
http://www.googleartproject.com/collection/rijksmuseum/artwork/the-sick-child-gabriel-metsu/320435/

スクリーンショット(2012-10-25 18.01.04)


27×32㎝の小さな絵で、灰色の地を、上に塗った肌色に透かした部分(額や頬など)もあれば、そのまま使った部分(鼻のむかって左下の影や、アゴと服の間など)もあります。
(病気の子なので、寒色調を強くしています)

スクリーンショット(2012-10-24 22.10.55)

フェルメール
http://www.googleartproject.com/collection/national-gallery-of-art-washington-dc/artwork/woman-holding-a-balance-johannes-vermeer/716707/

スクリーンショット(2012-10-24 23.08.59)


多分ここ↓に垣間見えるやや明るい黄茶色が塗られた後、
スクリーンショット(2012-10-24 23.20.20)




スクリーンショット(2012-10-24 23.10.52)
口の回り等に見られる、このような↓グレイを顔全体もしくはほとんどの部分に塗り、
スクリーンショット(2012-10-24 23.12.14)

多分それを乾かしてから、バーントアンバーの様な色でこういう↓暗部を描き、
スクリーンショット(2012-10-24 23.15.06)

スクリーンショット(2012-10-24 23.14.17)

↓暖色を塗るというかんじではないかと思います。

スクリーンショット(2012-10-24 23.17.18)

言うまでもなく、「牛乳を注ぐ女」とは、描き方も使っているし、色も違います。
フェルメールは色んな描き方をしており、肌色もいつも同じではありません。
レンブラントをはじめ、他の画家達もいつも同じというわけではないのが普通です。


ルーベンス

「ルーベンスは真っ白な下地の上に描いているので、色彩が現在でも鮮やかなのである」という説明をよく見ますが、この鮮やかな絵は灰色の地に描かれていて、画面のいたるところにそれがのぞいています。
http://www.googleartproject.com/collection/statens-museum-for-kunst/artwork/the-judgement-of-solomon-peter-paul-rubens/433306/

スクリーンショット(2012-10-25 8.02.01)

スクリーンショット(2012-10-25 8.02.30)

↓真ん中あたりの灰色が、多分画面全体にフラットに塗られ、背景の柱は、その灰色をハーフトーンに利用して、軽く明暗を入れるだけで描かれています。

スクリーンショット(2012-10-25 8.16.10)

スクリーンショット(2012-10-25 8.15.22)

男性の肌も、所々灰色を露出させたり、肌色を薄く塗って透かせたりして、寒色調を作っています。

スクリーンショット(2012-10-25 8.07.59)


他に寒色の入れ方の1つとして.....
ヴァン・ダイク
http://www.googleartproject.com/collection/denver-art-museum/artwork/lady-dacre-sir-anthony-van-dyck/461226/

スクリーンショット(2012-11-01 13.47.43)
↓こういう、黒を塗ったのでもなく、グレーズでもなく、下におかれた黒が肌色から透けて見える場合が、ヴァン・ダイクに限らずけっこう色々な画家の絵に見られるのですが、これはわざとなのか、下層描きに濃く描いていたものが、その上に描き直した層から透けて見えているのかよくわからなかったのですが、グーグルアートプロジェクトのおかげで拡大して見れる様になってから、わざと暗い絵具を塗っておいて、それを肌に透かせて寒色調を作っているのが分かりました。
スクリーンショット(2012-11-01 13.49.24)

ヴァン・ダイク
http://www.googleartproject.com/collection/the-royal-collection-london/artwork/charles-i-1600-49-sir-anthony-van-dyck/544169/

スクリーンショット(2012-11-01 18.20.35)

スクリーンショット(2012-11-01 14.05.29)

スクリーンショット(2012-11-01 14.07.37)

ヴァン・ダイク
http://www.googleartproject.com/collection/tate-britain/artwork/portrait-of-mary-hill-lady-killigrew-sir-anthony-van-dyck/330288/

スクリーンショット(2012-11-01 14.10.04)

スクリーンショット(2012-11-01 14.09.46)

ヴァン・ダイク
http://www.googleartproject.com/collection/museum-boijmans-van-beuningen/artwork/saint-jerome-anthonie-van-dyck/399229/

スクリーンショット(2012-11-01 14.11.31)

この絵は洗い過ぎていてひどい状態ですが、おかげで手順が分かりやすくなっていて、血管などになる部分に、暗い絵具が塗られていて、この上に肌色を塗ると寒色調になるいう工程を示していると思います。
スクリーンショット(2012-11-01 14.18.02)

スクリーンショット(2012-11-01 14.17.04)


古典絵画に用いられる有色地は、もちろん灰色以外にも色んな色があるわけですが、暗い地に肌色を塗ると、絵具の薄い部分は寒色調となりますが、この絵↓もそのような描き方の絵だろうと私は思います。

グイード・レニ
http://www.googleartproject.com/collection/dulwich-picture-gallery/artwork/lucretia-reni-guido/542126/

スクリーンショット(2012-11-01 14.30.06)
バーントアンバーの様な、かなり暗い地をそのまま使ったりしているもよう。
スクリーンショット(2012-11-01 14.34.12)
暖色調が強い部分は、肌色の絵具層が少し厚い様に見えます。
スクリーンショット(2012-11-01 14.33.50)

↓レッドオーカーとシルバーホワイトを混ぜた肌色を作って、
スクリーンショット(2012-11-01 14.36.51)

↓バーントアンバー地に薄く塗り、真ん中は右にいくほど絵具を厚く塗っています。
薄いと寒色調になるのが分かるかと思います。

スクリーンショット(2012-11-01 14.36.26)

↓ライトレッド地でも、薄い所は寒色調に。
スクリーンショット(2012-11-01 14.42.39)

↓ついでにグレイに同様に塗った場合
スクリーンショット(2012-11-01 14.41.44)

この他にも、一旦乾燥後に、グレーズや半透明で寒色調を入れる方法もあると思いますが、ざっとみて具体例が見つからなかったので、それは割愛させていただきます。




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