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「美術の窓」 掲載のお知らせ
2012/12/18 15:04 |
毎度有難うございます。
12月20日発売の「美術の窓」2013年1月号の、「㊙技法講座 基礎を完璧にする! 人体デッサン」に、6ページにわたって(7ページ目の拙作拡大も入れると合計7ページ)拙稿の技法講座を掲載いただきました。

ま1ま2ま3
ま4ま5ま6



↓拙稿の中で推薦した本







人に教えられるほどのデッサン力が無いくせに、こういうものを書かせていただくのは僭越の極みではありましたが、私には前々から、「デッサンが上手くなるには、とにかくデッサンを沢山描くこと」という教え方をしている学校や教室の先生がけっこう多い事には、異議を唱えたいと思っておりました。
「料理が上手くなるには、とにかく沢山作ってみること」と教える料理教室や、「サッカーが上手くなるには、とにかくボールを蹴ること」と教えるサッカー教室はありえないのに、絵の世界ではそういうことがまかりとおっています。
まジ 
ジオット 14世紀
まム 
エミール・ムニエル 19世紀

14世紀のジオットよりも19世紀のマイナーの画家の方が上手いのは、その間に対象の形や明暗を把握するノウハウが積み上げられてきたからで、初心者にはまず対象の捉え方や人体構造の基本を教えるべきなのに、やみくもにデッサンをさせている先生が多いのは、20世紀の個性重視の風潮とアカデミズムの崩壊のせいでしょうが、こういう20世紀型の教師には本当に困った人たちが多くて、「上手く描こうとしてはいけない」とか「黒は使ってはいけない」とか「写真など使うのはもってのほかで、常に対象を前にして描かなければいけない」とか、絵画に関して無学なくせに、あたかも普遍的な真理であるかのように決めつけてくる人がいます。
上手く描いた絵にも、黒を使った絵にも、対象を前にせずに描いた絵にも名画はいくらでもある(「にも」っていうかそっちの方が多い)わけで、そんな事も分からない人が、美術教師にはまだ沢山いることは残念です。(禁止するのがおかしいと言っているのであって、個々の好みや判断で黒を使わなかったり、写生のみにこだわる事を非難しているわけではありません)

また、「美術の窓」の文章の中で、私は写真から油彩画にする際はトレースをしていると書きました。
今回載せていただいた制作過程では、デッサンの話なのでさすがにトレースはしていませんが、油彩画の下描きに毎回いちいちデッサンをおこすのは、正直とても時間と手間がかかるので、写真をコピーしてそれをトレースしています。(もちろんそのままだと写真の歪みや大きさの不釣り合いがあるので修正しますが)

私は、好きな絵がトレースで下描きしてあると知ったら、そのとたんにその絵を見たく無くなったり価値を感じなくなくなるという事は全く無いので、この事について後ろめたさは無いのですが、まあやはりイメージ的にはよろしく無いので、お客さんには聞かれないのに自分からは言わないし、トレースしているけどひた隠ししている作家は多いです。

古典絵画においてトレースは誰でもがやっているわけではなく、カナレットやレイノルズがやっていたという記録はありますが、昔もやはりおおっぴらに言う事では無かった様で、どの程度行われていたかは分からない様ですが、下図を描く色々な方法があった様です。(版画の制作にはよく使われたようです)
こうして描かれた絵は、純粋にデッサンのみで描かれた絵より劣るという考えは私にはありません。

ピクチャ 3
ま9
250px-Cameralucida01.jpg
ま10
ま16



ノーマン・ロックウェルはトレースしていることを堂々と公表してて、私にはかっこよく見えます。
150b.jpg

ピクチャ 4



「この人はイラストレーターだから」という意見があるかもしれませんが、私はタブローもイラストも同じ「絵画」として見ていますし、ルーベンスの注文宗教画はイラストではないのか、どこが決定的に違うのか境界線がよくわかりません。
(話がそれますが、漫画はアートじゃないと断言する人はけっこういますが、彼らの描く描線は、今の日本画の巨匠クラスの人たちよりはるかに上手くて美しいし、アートとして認識されている浮世絵と、漫画はどこが境界線なんでしょう?)

「写真を使ってトレースすれば誰でも描ける」という意見があるかと思いますが、やってみてもらうと、絵の描けない人はトレース線を引く事も出来ないし、線描に描きおこしてあげても、それを正しくなぞる事も出来ないものです。
それは対象を把握する力が無いので、線を引くべき場所も、線が示しているものも理解出来ていないためで、そんなずれてグダグタなトレース線から絵を描く事は出来ませんし、なぞれたとしても、デッサン力の無い人に塗り絵の様に簡単に絵を描く事は出来ません。
デッサン力とは、手と目の力ではなく、対象を把握する脳の力なので、初心者にはトレース線が引けないし、やみくもにデッサンをしても、遠回りな学習でなかなか上手くならないのです。

世間には、「絵画」とは、「芸術とは」、「画家とは」、「写実絵画とは」、という定義付けをしたがる人がいて(私には無意味にしか思えないのですが)、「あれをするのは画家じゃない」とか「ああいうのは絵じゃない」とか、勝手に作った定義にあてはまらないものは認めないという、独善的で偏執で狭量な先生がいますが、そういう方達が言っている色々な定義に従えば、古典絵画の画家達の絵のほとんどは、絵じゃないし芸術じゃないし写実画じゃないという話になってしまいます。
私はこういう人たちの言う「芸術」や「絵画」の埒外にいる者です、という意味で、「美術の窓」1月号の巻末年頭名刺あいさつの肩書きは、「画工」とさせていただきました。


余談ですが「Norman Rockwell Illustrator」という本には、15ページにわたってノーマン・ロックウェルの制作過程が書いてあるのですが、その中で「アシスタントにトレースをやらせる事は出来ないのか?」との問いに、ロックウェルは、「それは不可能に近くて、ある者はアーティストの様にクリエイティブに描こうとし、ある者は細か過ぎ、ある者はすべてがダメなので、私がやるしかない」と答えています。
この本(英文です)は絶版ですが、大量に出回った本なので、アマゾンの中古品の出品や、古書サイト等で見つける事が出来ます。
http://www.amazon.co.jp/Norman-Rockwell-Illustrator-Value-Publishing/dp/0517133547/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1355813754&sr=8-1
(アメリカのアマゾンには1セントの出品が沢山あるので、海外発送をする出品者から、安い送料の所を選ぶのが一番安上がりかと)

↓こんなかんじ
ま33

ペーパーバックとハードカバーがあります。
ま66ま88

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制作過程




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