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レンブラント
2011/05/08 12:58 |
5月2日のブログに、レンブラントは「乾かした画面に透明ないし不透明の絵具を塗って拭き取る(かなり残して陰影にしたり、絵具の凸凹にだけ残してニュアンス付けや質感の表現にしたり)といったこともやっている」と書きましたが、どういう事かよくわからないとのご質問を受けました。

この方法は美術の窓2011年3月号の拙稿「技術講座(後編)」にも書きましたが、昔も今も普通によく使われている技法で、レンブラントだけがやっている方法でももちろんありませんが、古典画家の中でレンブラントの様によく使い、顔にも大胆に多用している画家は少ないと思います。

この方法はグレーズと同様に画家や作品によってはやってないことも多いですし、汚れたニスが凹部に残ったものと紛らわしいので見過ごされがちです。
短大時代に通った青木敏郎先生の絵画塾で教えてもらって初めて知りましたが、当時先生に「この技法なんて言うんですか?」と聞いたら「分からん」とのことでした。


では、ロンドン・ナショナルギャラリーやグーグルアートプロジェクトの画像を使って説明したいと思います。

ナショナルギャラリー


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目のまわりの凹部に黒っぽい絵具が擦り込まれ、頬や上瞼、額と眼窩の境目あたりに赤っぽい絵具が擦り込まれている。

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ヒゲの筆痕の凹にも同様。

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襟元にローアンバーに白を加えた様な緑がかった色の擦り込み。

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向かって左の衣服の赤や黄色が乾いてから黒っぽい絵具を擦り込んで、さらに襟元と同じ様な緑がかった色をスカンブリング(透明色を使うグレージングと違い、乾いた絵具の上に不透明ないし半不透明の絵具を薄く塗る技法)。

スクリーンショット(2011-05-03 15.51.16)
スクリーンショット(2011-05-03 15.48.03)
目の下に透明とも半透明とも思える赤(レッドオーカー?)が入っているものの、全体的にはグレーズというよりは、顔を描いて乾かしてから不透明か半透明の絵具中心で色や陰のトーンをスカンブリングしたり拭き取ったりして入れている様に見える。

スクリーンショット(2011-05-03 15.48.37)
鼻の下部の明部と暗部との境にある筆痕の細い溝に絵具が入っているので、下層が乾いてから鼻の影を暗い色で強めて明部では拭き取っているように見える。

スクリーンショット(2011-05-03 15.33.33)
中央上の方のブルーのトーン(おそらく黒の割合が多い肌色)はスカンブリングかプリマで塗ったもので、その下はローアンバーの様な色の擦り込み・拭き取りで寒色調のトーンを付けている。耳たぶの凹部にも同様な擦り込み・拭き取りがあるが、赤味はグレーズではないかと思う。

スクリーンショット(2011-05-03 15.32.36)
グレイでモデリングした服に、レッドオーカーと黒を混ぜたような色を塗って、襟の所は少し下層を出している。


「通称・夜警」はさらに大胆にこの擦り込みが行われているので、以下その夜警から例を示したいと思います。

グーグル・アートプロジェクト


「夜警)

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副隊長の服。盛り上げた絵具の凹部に擦り込んだ絵具で巧みに刺繍を表現している。

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ほぼ単色でモデリングしたあと、顔全体に絵具を塗りつけて、頬と鼻の辺りを拭き取っている。

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こちらは鼻や頬のあたりに赤(レッドオーカー?)も見える。

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端に描かれているのでトーンを抑え暗くするのが目的で擦り付けた絵具をかなり残していると思われる。

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ライトレッド?で描かれた帽子や服や白いラフ(襟飾り)に絵具の擦り込み。


その他画面いたるところにこの擦り込み・拭き取りが見られ、レンブラントの主要な技法の1つである事が分かる。
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このような絵具を塗りつけて拭き取るという方法は、やってみてどういう結果になるのか予測し難いものですし、何度もやり直すと表面を削ってしまうため、この様に大胆に行えるのはかなりの手練でなければ難しい技法と言えると思います。

私も失敗するのが恐いので、本のページの重なりとかバックのタピスリーの織目とか出す時にはよく使っても、顔とかにはとても使えません。
暗色調で凸凹も多いレンブラントならではでもありますが、絵の深みを出す効果も大きいので、もう少し使ってみたい所です。

ついでに小銭かせぎ..

レンブラントは大好きな画家というわけでもないので、この本は買ってなくて内容も知りませんが、レンブラントの技法に付いて書かれた本です。

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制作過程




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