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訂正・補足など
2013/02/23 11:15 |
毎度拙ブログお読みいただき、誠に有難うございます。

さて、このところブログや「美術の窓」の技法講座などで、知ったかに技法や材料について書いたり、アートマスターズスクールでの講座を拝命したりしているので、あらためて油彩の基本等について本を読み直したり、画材や技法に詳しい方達にに聞きまくって勉強しなおしているのですが、勉強すればするほど分からない事や疑問が増えています。

つどつど申し上げております様に、確かな事は分からず書いておりますので、鵜呑みにされず、最終的にはご自分の見識で御判断いただきたく存じます。
過去に書いた事について、色々と訂正や追記が必要となっておりますが、確認が難しい事も多く、ついつい先送りにしてきました。
ここらで少しずつ、それらを書かせていただきます。

その前に前置きが続きますが、私の技法や材料に関する知識というのは非常に浅いもので、持っている技法書もどれも精読してなく、斜め読みしかしていないので、基本的な事もよくわかっていません。
「分かってないなら書くな」ってかんじではありますが、油彩画の技法書というものは、すべてが科学的で厳密な検証や、学際的な研究を経て書かれているわけではありません。
専門的に研究してる方でさえ、かなり間違った事を書いたりしているし、誤訳が多くて意味不明なものもありますし、本によって見解がまちまちな事柄も沢山あります。
私に間違いが無い事を求めるのはムリと思って下さい。(開き直りともとれる発言)

たとえば、「油絵は描画すると次の層を重ねるのにどれくらい間をおくべきなのか」という事ですが、グザヴィエ・ド・ラングレ「油彩画の技術 」に、2週間はおくべきであると断定的に書かれていて、それをはっきり否定する本も知らないので、私は高校生の頃からずっとそうしてきたのですが、最近画材に詳しい複数の方に聞いてみると、「特に気にしなくて大丈夫」との事。
なんだそうかと思ったのですが、鳥越一穂画伯が教えてくれたこの研究http://www.turner.co.jp/art/golden/technicaldata/justpaint/jp25/jp25article3.htmlを読むと、話はそんなに単純でもなく、知れば知るほど分からなくなる状態です。

以前にも書きました様に、油絵はその発明から今日に至るまで、工程・技法・画材がてんでんバラバラで、1つに収斂されたことなど一度もありません。
古典画はどれもグリザイユないしカマイユにグレーズで描かれている、と単純に考えている方がいますが、手順や描法は画家の数ほどやり方がある、というか1人の画家でも色んな方法で描いていますし、溶剤や絵具もみんな同じ物を使っているわけでもないし、1人の画家がいつも同じ物を使っているわけでもありません。

昔と今とでは多くの顔料の、素材や製法、粒子の大きさが違うし、練り合わせ材、溶材の製法も違います。
昔の絵具は練り合わせや描画の際に何がどれくらい添加してあるのかもよく分からないし、現代のメーカーも絵具にどんな添加材をどれだけ配合しているかとか、画用液に何がどれくらいの配合比で混ぜてあるかは、製品に必ず明記しているわけでもありません。
仮に下地や溶き油、絵具を昔のものに近づける事が出来ても(難しい事ですが)、工程や乾燥にかけた時間、絵具のわずかな厚さの違い等でも結果が違ってきます。


今後訂正として書く事柄は、画家であり画材・技法にも造詣の深い、鳥越一穂さん、松川宣弘さん、塩谷亮さん、小川英史さん、高橋亮馬さん、高森幸雄さん(順不同)などなどの方々にうかがって、貴重なお話を色々とご教示いただいたことが多々含まれますが、「○○さんにこのように聞いた」と書いた事が、一部でも私の記憶違いで間違いだったり、ニュアンスが違っていたりすると御迷惑がかかるので、どなたに教えていただいた事かは、多くの場合割愛させていただきます。

前置きが長くなりましたが、今回の訂正は「バーントアンバーの滲出」についてです。
「美術の窓」2011年1月号の拙稿「古典的描法による油彩表現」の中、102ページに「肌以外はバーントアンバーを使うが、この色は経年により上層に滲出してくる性質があるので、過剰に使わない様に気をつける必要がある」と描きました。
この話は複数の技法書や画材解説書に書かれている事なので、そのまま素直に受け取っていましたが、某氏によると複数の研究所でのちゃんとした実験でそのような現象は発生しなかったとの事。

古典絵画はよくバーントアンバー(と、私には見えますが、絶対にそうかといわれると断定は避けます)の下塗りやエボーシュの上に描かれていますが、ニスの変色や裏打ちのワックスにより暗変した画面を見てそのように判断した事が、科学的には確認されないまま色々な文献に書かれてしまっているのかもしれません。

それからもうひとつ、ブログで「白亜地について」http://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-date-200908.htmlを書いた際に、ちゃんと理解してなかった事ですが、「ファット・オーバー・リーン」(油分の少ない層に油分の多い層をのせよ)の原則というのは、白亜地のように吸収性が強過ぎる地に描いたり、テレピンをかなり多くした絵具で下層書きをせよとの事と思っていて、それでは絵具が脆弱になってしまうではないかと思っていたのですが、私が現在使っている溶材のテレピン50パーセントは、下塗りとしては油と樹脂が多いのかと思っていたら、下塗りに問題無いテレピンの量だそうです。

「ファット オーバー リーン」の原則は、下層に極端な吸収性や過剰な揮発油を求めているのではなく、下層よりも上層の方が油分が少ない(下層が上層より油分が多い)事が、絵具に亀裂や剥離をおこさせる事への注意だそうです。

なるほどと思いつつ、でもテレピンって蒸発するから結局同じじゃ…?とか、テレピンが蒸発する時に出来る穴が、上層の食い付きに重要なのなら、層を重ねる前に溶き油を塗るのは影響無いのかとか、また分からない事が増えていきますが、また追々に….
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