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また写真使用について
2015/07/26 23:15 |
先日ギャラリーアートもりもとさんhttp://www.artmorimoto.com/を通して、画家で筑波大学大学院生の星野有紀さんhttp://yukihoshino.jimdo.com/から、「写実表現を主軸とした絵画を制作されている現代作家の方々の、写真や、カメラ、プロジェクタ、モニターといった機器の使用方法を調査し、学内誌へ投稿する論文」のための取材のお申し出がありました。
どの程度お役に立つかは分かりませんが、私としても興味ある研究なので、お会いしてとりとめもなく喋らせていだきました。お若いのにしっかりした方で、論文の完成が楽しみですが、私のスタンスはブログや雑誌でしつこく何回も書いた( http://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-entry-199.htmlhttp://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-entry-313.htmlhttp://paintingsfuruyoshi.blog56.fc2.com/blog-entry-273.html)様に写真使用肯定です。

実物のモチーフを目の前に置いて観察しながら描く「対看写生」(「写生」というと現代では主に「スケッチ」を指す言葉ですが、本稿では本画制作も含めます)にこだわることを、最近は「現場主義」と呼ばれる事が多い様ですが、これになぞらえれは私は「現物主義」で、写真を使って描いてあるけれども良い絵と、直接に対象を前に描く事にこだわっているけども出来上がった絵が作品としてアレなかんじの絵を並べられたら、当然出来の良い方を選びます。

写真をそっくりそのまま写し取っただけの様な絵はともかく、描く際に写真を使っているかいないかということ自体は絵を見るときの価値基準にはしないし、対看で制作した絵は良い絵で、しない絵はダメな絵などという決めつけはバカげていると思っています。
もし対象を直接見ながら描かない絵は良くない絵だとするなら、イタリアにいるモデルをフランスで描いたダ・ヴィンチのモナ・リザはどうなのよと。

対看ではなくてもデッサンを元に描いた絵ならOKで、写真を元に描いた絵はダメだというのなら、それについて感覚的だったり感情的だったりの個人的な主観や好みに基づく理屈ではなく、客観的・論理的・科学的な納得出来る理屈を教えてほしいものです。

「写真使用は悪」と言いたがる人は、昔の画家はみんなモチーフを目の前にして描いていたと思い込んでいる人が多い様ですが、私の尊敬する昔の画家達は、芸術家ぶってあれこれタブーに自縛されている現代の画家よりも柔軟さを持っているので、モチーフを直接見ながらも描くし、見なくても描く、直接見ないで描く絵は絵じゃないとかいう事はないので、私も写真を使う事を隠したりはしません。

写真を見ながら描くのは写真を模写するのにすぎないではないかという意見がよく聞かれますが、たしかに現代の写実画の中には、そう思わなくもない絵はあります。
現代の写実系の画家の中には、モチーフを画面上にそっくり再現することが最重要になっている傾向の方がいて、そのため逆に写真の使用を禁忌としている(使用してない体で実は使用している方は多い)ように思えるのですが、昔の画家は、美意識に従ってモチーフの形を変えたり、色を変えたり、彩度を上げたり下げたり、陰影もいちいち全部写し取るのではなくて、美しく無い影は省いたりと、モチーフをそのまんまそっくり写し取る事を原則や目標にしているのではないので、目の前にモデルがいなければ描かない・描けないということはありません。

写真を使わないと制作に色々な制約や支障が出てくるわけで、たとえば描きたいモデルがいても通う事が出来ない方が多いので、結局通えるモデルさんで妥協せざるをえないとか、来てくれたとしても制作の日程や段取りがモデルの都合に左右されて思う様に制作出来なくなります。
休憩のたびに衣服のヒダの形が変わるし、制作期間中にモデルが髪形を変えたり日焼けすると、結局は直接見ないで描いてるのと同じ事になってしまったりするわけで、それでもなお写真使用を頑に拒む理由がよく分かりません。

対看制作を主義としてこだわる方がいますが、主義へのこだわりは、一見かっこ良くて知的に見えたりしますし、私も若い頃はそういう人は私とは違う本物の芸術家というイメージに見ていたのですが、歳をとってそういう人達を見直すと、考えが偏狭なだけでムダに自縛している人が圧倒的に多く、少しもうらやましくなくなりました。絵描きには柔軟な発想こそが望ましいと思います。

以上は写真を使って絵を描く事を悪い事として一概に批判・否定する人達を批判していますが、対看による制作の方が自分に合っている方を非難しているわけではありませんので悪しからず...
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制作過程




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