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未完成画
2016/05/26 08:22 |
当ブログで繰り返し書いている粘着ネタは「古典絵画はグリザイユ/カマイユ技法だけで描かれているのではございません」というものですが、それを証明する展覧会がニューヨーク・メトロポリタン美術館で「Unfinished: Thoughts Left Visible 」と題し5月18日〜9月4日に行われています。
http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2016/unfinished

ルネサンス以降の西洋の絵画と彫刻の未完成作品を集めた大規模な展覧会で、作家によって様々な制作過程があることを示していますが、私はよく知らない早い時代(「それ以降はよく知ってる」ということではないけど)のファン・エイクやチマ・ダ・コネリアーノの絵はグリザイユなのかどうかよく分からないものの、17世紀以降で人体をグリザイユないしカマイユにグレーズで描いている例は本展には一作もありません。

⬇チマ・ダ・コネリアーノ
rdguhdfu.png

⬇ファン・アイクのこのような下描きに透明色をグレーズして
mjghgedgq.png
kfjnhksfn.png

⬇こう仕上げるのは不可能なので、これをグリザイユと解釈するのは違うだろうと思います。
ghfghnod.png

⬇ダ・ヴィンチのこれはサイズや構図からいって明らかにスケッチで、これには元々彩色をするつもりは無かったはずです。
Schjeldahl-TheMet-Unfinished2-320.jpg

以前のブログにも書いたように、ダ・ヴィンチはカマイユで描いていた形跡が無きにしもあらずですが、一般的にはめったに見ない例なので、これをもって「古典画家はグリザイユ/カマイユで描いていた」ということにはなりません。

ジャック=ルイ・ダヴィッドのこれ⬇はカマイユではないのか?という疑問があるかもしれませんが、
sadfugsa.png

この⬇ダヴィッドの未完成画(本展には出ていません)のように、
adjdfgkfc.png

褐色で下層描きをしたあと、不透明な絵具をうすく少しずつこすりつけるように塗って⬇
sdorfjght.png
feihjdrhit.png

最終的にこのように⬇なめらかに仕上げるという人なので、「カマイユにグレーズ」というのとはまったく違います。
dfsghusder.png

こんな⬇カマイユを描いてその上に透明色をグレーズしても、なんだか分からないものにしかならないし、上⬆の手の回りのブルーは透明色ではなく不透明に塗られているということからもご理解いただけるものと思います。
jdshfhiaswh.png

これも以前に書いた様に、被覆力の弱い赤や青等の絵具で布などを描く時はグリザイユやカマイユが使われることはあっても、人体をグリザイユ/カマイユで描くことはまず無いし、あったとしても極めて珍しいケースであるにもかかわらず、古典絵画のほとんどはグリザイユ/カマイユで描かれていると信じられているのは、20世紀に書かれた本でそのように述べていることを無批判に信じて広まったものと思いますが、一次資料である絵そのものが「グリザイユで人体は描かない」と語っているので、本や美校の先生の言うことを鵜呑みにするのではなく、もっとちゃんと作品そのものに向き合ってほしいものだと思います。

この展覧会のカタログである本書は、印刷は悪くないのですが図版が小さめのものが多いので、どう未完成なのか分かりづらいかもしれないことや、本ブログをご覧の方はあんまり興味なさそうな現代美術の図版が4割近く占めるのに値段は安くはないので、お薦めと言うには微妙。
現代絵画は完成してるんだか未完成なんだか、私にはさっぱり分からないです。

私が買った本は数ページが欠けていて、かわりに他のページが重複して入るという今どき珍しい乱丁になっていて交換してもらいましたので、お買いになったらすぐに点検されることをおすすめします。


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